CTOの挑戦・前編 Technology for learnersへの想い
その目に迷いはなかった。
レアジョブには、技術領域に対する確たるニーズがあった。
そして山田には、そのニーズに応えるに足る経験があった。
あとは、方法論を考え、やり抜くこと。
そのために必要なリソースや基盤をきちんと整えていけばいい。
決して簡単ではない。数年単位の大プロジェクトになることもわかっていた。
それでもそこに“挑戦”があるなら、ためらう理由はなかった。
2017年10月、山田はCTOとしてレアジョブにジョインした。
キャリアのスタートはSIer。その後、日本最大手のインターネット事業者に移り、さまざまなサービス開発を経験する。知人に誘われて参画した大手通信キャリアのグループ会社では、100名のエンジニアを統べるCTOを務めていた。
まさに、レアジョブの技術にかかわる領域を一段高くドライブさせるには、うってつけの人材だった。
では、山田にとっては、レアジョブへやってくることにどんな意味があったのだろうか?
その答えは「挑戦したかったから」
守りに入った安住など、求めない。
変化への、そして挑戦への渇望が、山田を動かす原動力だった。
そして、山田がレアジョブで挑戦すること――それは、人材・システム・組織など全方位的に進化させ、技術の領域から事業の可能性を広げていくこと。そのなかには、山田自身も未経験となる海外拠点のマネジメント、そして日本の組織との有機的な連携を実現させることも含まれている。
初めての試みを求めていたからこそ、山田はレアジョブへのジョインを選んだのだった。
最初にして最難関のミッションが、既存システムのフルリプレースである。
実は、レアジョブのサービスのコアでは、かつてエンジニアだったCEO・中村が創業時に構築した初期設計のシステムが、今も稼働している。事業拡大に伴って改修を重ねてきたがゆえに、もはやコアの部分は生半可にはさわれないほど奥深くに埋まり込んでいた。
レガシーなシステムからの刷新は、さらなる事業拡大の可能性、そして学習体験の向上というステップアップへの扉を開くことを意味する。だからこそ、基盤を再構築するフルリプレースが早急に必要だった。
一方で、リプレースは、ゼロスクラッチでの開発よりも難易度が高い。
それは、既存サービスの運営に影響をおよぼすことなく、新しいシステムに移行していかなければならないからだ。
それゆえに、エンジニアのスキル、リソース、開発環境、プロセス設計など、多様なファクターが必要となる。
さらに、レアジョブは日本とフィリピンの2国間連携で事業を運営しているので、レアジョブフィリピンの技術部門との連携も欠かせない。
どのピースが欠けても、リプレースの成功はなしえない。
山田は、一つひとつの現状と課題を整理し、着実に前進するためのプロセスを組み立てていった。
何よりも重要になるのは、物事を動かす人材だ。
山田は、エンジニア達に問いかけた。
何を目的に定め、誰を見つめ、どのように考えるのか?
そして、目的を見失うことなく一人ひとりが能動的に考え、行動できる姿勢を示すために掲げられたミッションが“Technology for learners”だった。
確かに、フルリプレースは、大きな目的には違いない。
しかし「なぜ」フルリプレースをするのか?
さらに先にある真の目的は、レアジョブの受講者が成果を出せるようにするため、である。
それは同時に、受講者がレアジョブのサービスに満足して利用いただくことで、会社としての利益を生み出していくことまでをも含む。
ビジネス的な視点を持つことは、効率的な技術開発を進めていくうえでも非常に重要なポイントのひとつだった。
経済合理性、スピード感、柔軟性…など、内製エンジニアを揃える意義は多い。
なかでも、ユーザーやサービスを理解し、未来を見据えながら技術を扱い、向き合えることこそ、山田は最も重視していた。
“Technology for learners”への共感、そして行動力があるエンジニアを求め、採用を進めていった。
後編はこちらから。
※役職、部署名などは2021年3月時点