Challenge

ビジョンを描く、挑戦の物語
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英語教育
2022/03/31

1日2万レッスン供給の最前線 フィリピン人役員が率いるコロナ禍での自律運営 ~前編~

表立って目にすることは少なくとも、彼らの頑張りがあってこそサービス提供が成り立っている。

レアジョブグループにはそんな組織が多数あるが、その中の一つが「レアジョブ英会話」のレッスン供給などを担うRareJob Philippines, Inc.(以下、RJPH)だ。

6,000名を超える講師の採用、トレーニング、オペレーション管理を担うとともに、エンジニアや教材開発などのプロフェッショナルが集い、日本側と緊密な連携を取りながら事業を運営している。
つまりRJPHでは、遠く離れた日本に対する円滑なサービス提供と、フィリピンでの事業運営のバランスを見極めることが常に求められているのだ。

約3,000キロの距離を隔てているので、物理的な行き来はたやすくない。当然ながら文化も価値観も異なる。さらにはコロナ禍となり、RJPHの日本人CEOは日本からフルリモートでマネジメントすることとなった。
感染拡大状況に左右される不安定な情勢で、社会インフラや医療体制が脆弱なフィリピンから、日本に向けてレッスンを安定供給し続ける。それがどれほど難しいことであるか、想像にかたくないだろう。

日々の業務遂行、事業運営において前例のない挑戦とも等しい判断や決断を行い、自律的なマネジメントを担っているのが、3名のフィリピン人Director達である。

予期せず始まったコロナ禍
模索しながらも前に進み続けた

2020年3月16日。
世界中が新型コロナウィルス感染拡大による混乱と恐怖のさなか、フィリピン政府はルソン島全域にロックダウンを宣言した。数日後には全域に拡大することとなったが「誰もそんな状況への準備なんてしていなかったし、RJPHも例外ではなかった」と、管理部門と財務部門を管掌するAnnaは振り返った。

「在宅勤務への移行には、ノートパソコンの手配が必須です。管理部門のスタッフは、恐ろしいウィルスの感染不安にさらされ命の危険を感じながらも、迅速に手配を進めていきました。財務部門においては、翌4月には所得税と決算の申告期限が迫っており、不安でも大変でも、やりきる以外の選択肢はなかったんです」(Anna)

当時、人事部門の管掌を引き継いだばかりのKiaraも「最初の数カ月は本当に大変だった」と言う。COVID-19対策本部のリーダーも務め、重要かつ迅速な決断を強いられる局面が多かったからだ。

「未知なるウィルスの脅威のもと、どんな決断も高いリスクと隣り合わせでした。それでも、意思決定に長い時間をかけるわけにはいきません。RJPHの生産性損失に直結してしまうからです。職を失うのではないかと不安を感じるスタッフも多かったですね。対策本部としては、イレギュラーな状況でも生産性を保つための方針を策定しつつ、人事部長としては『業務は通常通り』と一貫したメッセージを発信し続けねばなりませんでした」(Kiara)

「全社的に言えることとして、最初の頃は状況に合わせてどんどんルールが変化し、そのたびに説明するのが大変でした。やがてコロナ禍が長期化するにつれ、課題は働き方の見直しやスタッフのケアへとシフト。オフィスで仕事していた時と同じコミュニケーションを、在宅勤務でも求め続けるわけにはいきません。従来の慣習や考え方にとらわれず、現状に合った対話の必要性を強く感じました」(Marvin)

プロダクトと技術部門を管掌するMarvinは、在宅勤務でもスタッフの不安を軽減し、働きやすくするための改革を積極的に取り入れた。
コミュニケーションツールを見直す。会議を短縮する代わりに頻度を増やす。
議論やトピックの設定はチケットベースとして、優先順位を明確にする。
他にも委員会やプロダクトチームの立ち上げ、目標設定基準の変更など、物理的に同じ空間にいなくとも、チームワークや生産性を失わず成果を出すための仕組みを柔軟に考え、構築していった。


どの決断も、変革も、不透明な状況下で緊密にコミュニケーションを取りながら、自律的に実現していったものばかり。
100%の正解を求め立ち止まるよりも、最善の手立てに向けて挑戦しようとする。その意志と行動が、RJPHのスタッフを守り、そしてサービス提供の安定を支えていた。

後編へ続く

RareJob Philippines, Inc.(RJPH)
RJPHは、2008年に設立したフィリピン子会社。6,000名を超える講師の採用、トレーニング、オペレーション管理を担うとともに、エンジニアや教材開発などのプロフェッショナルが集う。「レアジョブ英会話」のレッスン供給を担い、受講者には質の高い学習体験を、講師には理想的な労働環境の提供を目指している。