Challenge

ビジョンを描く、挑戦の物語
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英語教育
2022/03/31

1日2万レッスン供給の最前線 フィリピン人役員が率いるコロナ禍での自律運営 ~後編~

すべては、スタッフを守るため。
どんな時も心配りを忘れないのがレアジョブらしさ

日本と比べて、フィリピンの感染拡大は深刻だった。
しかも医療機関の数が少なく、国民皆保険でもない。そもそも検査を受けること自体が容易ではない上に、治療費は平均年収の約4倍とも言われている。外出禁止令、ロックダウンは世界最長レベルの約1年半以上に及んだ。

それだけに、Director達は何よりスタッフの安全を優先的に守らねばならなかった。

「フィリピンの状況は、逐一日本側へ共有しています。スタッフの安全と健康を守りながら事業運営のバランスを取ることが、我々の果たすべき使命です」(Marvin)

「この危機的状況はまさしく“health crisis”であり、感染者や感染の不安があるスタッフを支援する方針の策定は当然のアクションです。感染の報告を受けたらすぐに医療担当者がコンタクトを取り、定期的な症状観察や健康管理のアドバイスを行いました」(Kiara)

スタッフが安全に働き続けられるように、現場ではさまざまな工夫が凝らされた。
前例がない方策をその都度取り入れていく挑戦的な試みが多かったものの、そこには、フィリピンの文化とレアジョブの社風が融合したRJPHらしさがあった。

「自宅でもできるだけ快適に仕事ができるように、オフィスのデスクやチェアをスタッフに支給しました。また、ワクチン接種には休暇を付与。その結果、RJPHのワクチン接種率は、フィリピン国内平均を大きく上回っています」(Marvin)
「給与保障、福利厚生の手厚さには、スタッフから非常に感謝されました。たとえば、緊急事態に備えるため、本来なら12月に支払う13th month pay(フィリピンにおけるボーナスの一種)の一部を前倒しで支給しましたが、こういった面にも配慮するのがレアジョブらしさだと思っています」(Anna)

こまやかな配慮の一つひとつに、スタッフを想い、守ろうとする真摯な姿勢が映し出されている。

なかでも特徴的なのが、長期化する在宅勤務環境に配慮したCARE PACKAGEの配布だ。
マスクや体温計、パルスオキシメーターといった物資に加え、コーヒーやビスケット、名前入りカップなど、あたたかな心配りとともにスタッフの元へ届けられた。


「フィリピンには、ギフトを贈るのを楽しむ文化があります。CARE PACKAGEの内容物はスーパーバイザーやマネージャーらの提案から選定しましたが、受け取ったスタッフはとても喜んでくれました」(Kiara)

部署によっては、スタッフの名前入りケーキをクリスマスギフトとして贈ったり、部長自ら車を走らせてスタッフの家を一軒ずつ訪問し、ギフトを手渡したりもした。
コミュニケーションが希薄になりやすいからこそ、温度感のある結びつきを大切にしている。

日本にいるCEOも、2020年10月の就任以来、全社向けの集会や社内オンラインイベントに必ず出席してスタッフにメッセージを送っている。
「イベントはもちろんオンラインミーティングでも、自分は100%カメラオンで参加している」との言葉の通り、物理的な距離を超えてRJPHのスタッフに向き合おうとする姿勢を行動で示しているのだ。

未曽有の危機の先に見えたチャンスの広がり
グループビジョンの実現へ

コロナ禍がもたらした変化はあまりにも大きく、その爪痕は深い。
長引くコロナ禍で、フィリピンでは多くの企業においてスタッフのエンゲージメントが下がり、通常よりも退職率が高まった。
RJPHも例外ではなく、退職者が増加し、採用が厳しい時期があったことは否めない。求める人材の確保は、喫緊かつ重大な課題だった。

「厳しい状況が続けば、人の心は折れやすくなり、別の企業、別の仕事を求めようとするものです。心身ともに十分に癒されていない中で、人材流出を防ぐための工夫が必要でした」(Marvin)

Annaも「変化の激しい時期だからこそ、カルチャーフィットする人材の採用が大事です」と語る。「スタッフが幸せなら、困難なこと、不可能に思えることにも打ち勝てる」という言葉の向こう側には、自部門のスタッフへの信頼と、それに対して結果で応えてくれる仲間の存在があった。

言うまでもなく、彼らの挑戦は大勢のスタッフの存在とともに成り立っている。
変化を恐れず決断を下し、信頼を育みながら前進してきた日々が、RJPHを一段と強くしたに違いなかった。

今なお、コロナ禍の終焉は見えていない。しかし、いやおうなしに挑戦と決断を強いられてきた数年のなかで、思いがけずポジティブな変化も生まれている。

「私のホームタウンは、首都マニラから1,100キロも離れています。そうした地にも『レアジョブ英会話』の講師として働く人たちがいて、首都圏でなくとも働くチャンスを提供できることを、誇らしく感じます。また、RJPHとしては今後も在宅勤務を基本とし、マニラ以外の在住者でも採用の裾野を広げることにしました。優秀な人材を採用するために、物理的な距離が阻害要因ではなくなったのです。講師でなくとも活躍のチャンスを提供できるようになり、“This is RareJob style!”と思います」(Kiara)

ピンチを逆手に取った決断から生まれた、前向きな変化。
まさに“Chances for everyone, everywhere.”というレアジョブのグループビジョンを体現している。

しなやかな強さを原動力に、RJPHはさらに進化を遂げていくに違いない。
自立し、自律しながら現地を率いる頼もしい彼らの挑戦に、終わりはないのだから。

RareJob Philippines, Inc.(RJPH)
RJPHは、2008年に設立したフィリピン子会社。6,000名を超える講師の採用、トレーニング、オペレーション管理を担うとともに、エンジニアや教材開発などのプロフェッショナルが集う。「レアジョブ英会話」のレッスン供給を担い、受講者には質の高い学習体験を、講師には理想的な労働環境の提供を目指している。