Challenge

ビジョンを描く、挑戦の物語
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レアジョブの歴史
2020/07/30

#02 創業初期のチャレンジに映し出されるレアジョブらしさ

今と、未来。

ビジネスの成功に欠かせない2つの軸を同時に、しかも常に見つめ続けるのは、言葉で表すよりずっと難しいことだ。
山積する実務に追われていると、高く掲げたビジョンを見失いやすい。
とはいえ、理想に突っ走って現実をないがしろにすれば、小さなほころびが致命傷になりかねない。

ロジカルに戦略と仮説を立て、愚直に試行を積み重ねる。
改善の道を探り、小さな一歩でも進み続ける。
受講者や現場の“等身大の現在”は、決して見失わずに。
初期のビジネスモデルを構築したあまたのチャレンジの底流には、そんなレアジョブらしさがあった。

たとえば、サービス普及の施策。
オンライン英会話という新たなサービスの普及には、試してみたくなるきっかけがいる。
そこで、オフラインの英会話スクールと比べて圧倒的にリーズナブルな「25分129円から」と打ち出した。
チャレンジングな価格ではあったものの、きちんと伸ばせば収益化できる設定だと見込んでいた。

ローンチ当初のサービスサイト

オンラインという手段の利便性も、フィリピン人講師の質の高さも、試してもらえれば伝わるはずだという勝算があったからだ。
当初から無料体験を実施し、価値を感じてもらったうえで会員登録できる仕組みを取り入れていた。

あるいは、講師採用の指針。
「レアジョブ英会話」のレッスンを行う講師は、その大部分がHome Based Tutor(HBT:在宅勤務講師)である。これは、プレサービスの段階から決めていたことだった。
単価を低く設定しているので、収益化には1,000名単位での受講者数増加が必須条件。
だとすれば、ビジネスのスケールアップに合わせて、レッスン供給数も確実に増やしていかなければならない。
だから、人数を増やしやすく、勤務場所を確保する必要のないHBTの一択だった。
実際には、オフィスの一角やPCを貸し出したり、講師獲得が追いつかず新規入会を停止したりしていたが…。

オフィスの一角でレッスンをしていた時の様子

もちろん、創業間もないベンチャー企業に余剰な資金などはない。
最低限のコストで最大限の効果を出すことは、事業存続にかかわる死活問題である。
受講者の継続率や原価率、広告宣伝費などからはじき出す「ユニットエコノミクス(顧客1人当たりの採算性)」が重要だった。
とはいえ、サービス開始当初はその適正値を測るデータがない。
手探りながらもギリギリのラインを見極め、仮説検証をスモールに行って最適解を割り出していった。

不確定要素は一種のリスクであると同時に、チャレンジの推進力にもなる。
わからないから挑む。少しずつ、試しながら修正する。改善を前提とし、完成度は求め過ぎない。
それは、エンジニアだった中村らしい発想だと言えるかもしれない。
数値に基づき判断するという定量的かつ客観的な判断軸があったからこそ、臆することなくチャレンジを続けていけたのだった。

多様な施策やサービス開発で攻めていく一方で、中村と加藤が決して見失わなかったこと。
それは“当たり前のことを当たり前にやり続ける”という基本の徹底だった。
たとえば、仮説の構築と検証。数値に基づく判断。コスト管理。
顧客に対して真摯に対応する姿勢。それを具現化するための体制構築。
並べてしまうとシンプルな事柄だが、あくまでも自社のビジネス、そして顧客を見つめ続けた姿勢が、結果的には競合他社との差別化になった。
それが、数あるオンライン英会話事業者のなかでレアジョブが生き残れた理由だったと判明するのは、もう少し後になってからである。

サービス立ち上げ当初に調査した競合比較表

戦略はロジカルなストーリーを紡ぎ、スタンスはどこまでも真摯で誠実に。
そんなレアジョブのフィロソフィーは、今なお変わらず息づいている。

中村 岳
共同創業者、代表取締役社長
開成中高を経て、東京大学・大学院へ。情報理工学を専攻。その後、NTTドコモに入社。次世代通信の研究を行う。
エンジニアとして働くなか、個人と個人ををつなぐ新しいビジネスの立ち上げを考案。中高の同級生・加藤智久とともに、2007年にレアジョブを共同創業。