66万人(*1)のデータから日本人の英語スピーキング力の実態を調査 グローバルビジネスで通用するレベルの英語力を持つ人材は7%
EdTechカンパニーの株式会社レアジョブ(以下、レアジョブ)法人向け事業子会社、株式会社プロゴス(以下、プロゴス社)は、2020年6月の提供開始から4周年を迎えたAIビジネス英語スピーキングテスト「PROGOS®」の受験データを活用し、日本人の英語スピーキング力に関する調査結果を発表いたします。
調査背景
レアジョブグループでは、2020年6月よりAIビジネス英語スピーキングテスト「PROGOS®」を提供しており、今年で4年を迎えます。AIの自動採点により国内外の企業・大学で広く活用されており、現在のべ受験者数は66万人に上り、77の国と地域で受験されています(2024年5月末時点)。
“日本で最も年間受験者数が多い英語スピーキングテスト(*2)”として認知も高まっている中、4年間で蓄積した大規模受験データを調査・分析し、日本人の英語スピーキング力の実態と課題を明らかにいたしました。
*1 2020 年 6 月以降の「PROGOS®」のべ受験者数
*2 自社調べ、「スピーキング力」の技能のみを測定するテストが対象
調査総括、主なTOPICS
今回の結果から、日本企業のグローバル展開への動きが活発になっているにもかかわらず、それを担うべき人材の英語力、特にスピーキング力が追い付いていないことが明らかになりました。また、学生・役員と比較すると、実務を担う一般社員・管理職のスピーキング力は低く、語学力の面でもグローバル戦略の実効性を裏付ける人材の育成・確保の必要性が浮き彫りになりました。
<国際指標「CEFR」におけるビジネスで英語を使用する際に求められるレベル>
「PROGOS®」は、国際的な言語力指標である「CEFR(セファール)*3」に準拠しています。本調査では、以下レベルに基づき、結果を解説いたします。
*3 CEFR(Common European Framework of Reference for Languages/ヨーロッパ言語共通参照枠)の略。言語運用能力別のレベルを示す。
<主なTOPICS>
・日本人の最多は初級段階の「A2High」で、英語で業務ができる以前のレベルであり、「B2」「B1High」が多い海外受験者と比較するとその差は顕著である
・役員と学生の方が、現場で実務を担う社員より「スピーキング力」が高い
・グローバル関連の業務を行う部署でも、英語で責任ある業務を行える「B2」以上は1割程度にとどまる
・日本人の「リスニング・リーディング力」と「スピーキング力」の間には依然として大きなギャップがある
結果① 日本人の最多は初級段階の「A2High」で、英語で業務ができる前段階のレベル
2020年6月の提供開始より4年を経てのべ受験者数は66万人、そのうち日本人のビジネスパーソン(一部、大学生を含む)は42万人が受験しており、スピーキング力はCEFRレベルで以下の分布となることが判明しました。また、「PROGOS®」は現在77の国と地域で利用されており、海外の受験者と日本人の受験者の比較も行いました。
・日本人の最多レベルは「A2High」であり、英語で何らかの業務ができるレベルには達していない
・グローバルビジネスで通用するレベルである「B2」以上は7%にすぎなかった
・また、これに対し、海外受験者の最多レベルは「B1High」であり、「B2」以上が4分の1を超えていた
結果② 役員と学生の方が、現場で実務を担う社員よりスピーキング力が高い
受験者の業種・職種・役職別に、業務で英語を使うのに最低限必要なレベルである「B1」、英語で責任ある仕事ができるレベル「B2」、それぞれのレベルにどれくらいの人数がいるのか、分析を行いました。なお、業種と職種については特に受験者が多かった業種・職種を抽出して分析をしています。
・主な職種別:ビジネスパーソンのどの職種よりも、学生のレベルが最も高い
営業、一般職、事業開発、エンジニアリング、IT・コンピューター、人事・採用、マーケティングの職種に加え、学生を対象に分析を行いました。その結果、「B2」以上のレベルの割合が多い職種は、人事・採用、コンサルタント、マーケティングでした。さらに、学生の受験者はほか職種と比較しても「B1」以上「B2」以上共に最もスピーキング力が高いという結果となりました。
・役職別:現場で実務を担う社員よりも、取締役が最もスピーキング力が高い
一般社員から代表取締役までの役職別の比較を行いました。すると、取締役が最も「B2」以上のレベルが多いことが分かりました。また、「B1」以上の割合が一般社員が47.9%と最も少なかったのに対し、管理職と役員は軒並み半数を超えました。
現在日本企業において、社員の英語力のデータは、中期経営計画と連動した全社目標・採用基準・タレントマネジメントの登録データなどと、幅広く用途が拡大しています。
・主な6業種別:コンサルティングが最もスピーキング力が高く、6業種の中では40%以上が「B1」レベル
受験者数が特に多かった、IT・インターネット、コンサルティング、メーカー(メディカルを除く)、エンターテイメント、メディカル(医薬品、医療機器)、運輸・交通に絞り、分析を行ったところ、コンサルティング業界はB1以上が60%以上と、他の業種と比較して英語力が高いことが分かりました。
・グローバル関連部署と企業全体の比較:グローバル関連部門でも英語で責任ある業務を行える「B2」以上は1割程度
グローバル関連の事業・業務を行う部署と、企業全体のレベルを比較しました。その結果、グローバル関連の部署の方がスピーキング力はやはり高いものの、グローバルビジネスで通用する、つまり責任のある仕事ができるレベルの「B2」以上の人は1割程度であることが分かりました。これにより、グローバル関連の業務を担当していながらも、まだまだスピーキング力が不足していることが分かりました。
結果③ リスニング・リーディング力が高くても、スピーキング力が高いとは限らない
英語を学ぶビジネスパーソンの多くの方が受験しているTOEIC®L&Rと、「PROGOS®」の両方を受けた69,350人の受験データを活用し、技能間の比較分析を行いました。
CEFRレベルを共通の尺度として比較したところ、リスニング力とリーディング力が「B2」以上の人でも相応のスピーキング力を持つ人は18%に過ぎないことが分かりました。また、「B1」レベルを持つ人で比較した場合は、47%でした。これにより、依然としてリスニング・リーディング力とスピーキング力の間には大きな差があり、英語を使ってビジネスができるか判断するには、スピーキング力も測定することが重要であることが分かりました。
その他、日本人の英語スピーキング力に関する調査結果について、より詳細なレポートをご希望の方は、以下よりお問い合わせください。
報道関係者の方:press@rarejob.co.jp
法人企業のご担当者の方等:https://www.progos.co.jp/inquiry
現在、日本の人材育成を取り巻く環境は大きく変化し、人材をコストでなく資本ととらえ、人への投資を強化する人的資本経営が推進されています。こうした変化の中で英語スピーキング力は事業のグローバル化推進に欠かせないスキルであり、国際的な言語指標である CEFR によってそのレベルを可視化することは、データドリブンな人事施策を実行する上でも、より一層重要になると考えられます。
「PROGOS®」は、AIによるアセスメントという特長を活かし、2020年の提供開始から4年間で66万人分の受験データを蓄積し、過去にないスピードでその規模が拡大しています。今後も、これらの膨大なデータを基にした高度な分析を通じて、企業における人材の採用・配置・育成の最適化に向けたデータドリブンな活用を推進してまいります。
「PROGOS®」について
「PROGOS®」は、国際標準規格CEFRで英語スピーキング力を速く、手軽に、リーズナブルに測れるビジネス英語スピーキングテストです。手動採点に加えてAI技術により採点自動化を実現し、短時間で結果の確認が可能。総合評価と6つの指標別評価から、弱点を把握して効率よい学習につなげることができます。企業・大学では、広く社員・学生のスピーキング力の可視化やグローバルリーダ―育成のためのアセスメントとしてご利用いただいています。個人向けはアプリ版、法人向けはブラウザ版でテストを提供するほか、人材・教育関連事業社等にテストシステム単体でも提供するなど、様々な形態で展開しています。
詳細はこちら:https://progos.ai/
【株式会社プロゴスについて】
所在地:東京都渋谷区神宮前6-27-8 京セラ原宿ビル2F
代表者:代表取締役社長 坪内 俊一
URL: https://www.progos.co.jp/
事業内容:グローバルリーダーの評価・育成
本件に関するお問い合わせ先
株式会社レアジョブ 広報 荒川
メール:press@rarejob.co.jp